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「覚えたつもり」や「勉強したつもり」とは その3(完)

2023年05月30日

中津市・宇佐市の大学受験専門予備校、大學受験館カルタスです。

 

いよいよその3まで来ましたが、「覚えたつもり」や「勉強したつもり」についての連続記事はここで完結となります。

(過去のその1、その2へのリンクは↓コチラ↓)

「覚えたつもり」や「勉強したつもり」とは その1

「覚えたつもり」や「勉強したつもり」とは その2

 

 

その2で挙げた4つのポイント(おさらい)

①自分で繰り返し”テスト”を行う

②自分の”わかる”・”わからない”を自分で確認&選別する

③解き方だけではなく、解いた問題の本質を理解する

④時間あたりの自分の学習進行スピードを常に意識する

 

さて、このブログでは、上記の4つのポイントを支える「勉強における根本的な考え方」を示したいと思います。

 

それは、

「後で他人に教えられるように勉強する」

ということです。

 

おおげさに言う割には目からウロコな情報ではないとがっかりされたかもしれませんね。しかし、本当の意味で優秀な生徒はほぼ例外なく、学習して理解し、解けるようになったものについて、他者にその内容を自分なりに説明する(教える)ことができます。逆に言うと、それができないということは、その生徒の学習に致命的な弱点があることになります。以下、例を挙げてそのことを述べてみます。

 

例えば、英語の現在完了形という文法単元を学習するとします。

まず、現在完了形というものがhave+動詞の過去分詞で作られる形であることは、一度習ったならほとんどすべての生徒が答えられるでしょう。しかし、haveが主語に応じてhasになることや、動詞の過去分詞(とりあえずテストの出題範囲で出てくるもの)を一通り暗記しているかどうか、は別問題です。①の自分で繰り返し”テスト”を行うことを経ないと、haveがhasになることもあることや動詞getの過去分詞が何かを覚えることはできません。

また、練習問題をやっていく中で、特定のパターンの問題になると誤答してしまうことが自分で分かってくる(例えば、3つの用法の区別や、alreadyとyetの区別など)ものですが、①の量が不足していると、自分が何が分かって何が分からないのかを自分で把握することができていないことになります。つまり、②の自分の”わかる”・”わからない”を自分で確認&選別することができていないということです。

さらに、「彼は2年前京都に行ったことがある」という日本語を英訳させる問題において、③の解き方だけではなく、解いた問題の本質を理解するということがおろそかだと、機械的に「行ったことがある」→ have been to と変換(これを覚えていること自体は勉強の成果なのですが)して、He has been to Kyoto two years ago. という間違いを犯すことになります。よく勉強している人だと「現在完了形とagoは同時に使えない」と知っていて、これが間違っていることは見破ることができるかもしれません。ただ、「なぜ現在完了形とagoは同時に使えないのか」という本質の理解がしっかりできているかどうかは、人によって異なります。

 

ちなみに現在完了とは、「過去を起点としてある動作や状態が現在につながっていて、その上で現在どうなのか」を表す表現です。したがって、2年前という、現在とは切り離されたある一点の過去のことについて述べている上の例では、そもそも使用できません。この例題の解答は、He went to Kyoto two years ago. です。

 

この例でいくと、その単元のことは自分が何でも教えてあげられるようにすることを強く意識して勉強している生徒は、上記の①②の取り組みについて、そうでない生徒とは取り組みの質が決定的に違ってきます。自分が覚えていないものがあったり、自分が分かっているか分かっていないかが不明な状態だと、他人に教えることはできないからです。また、自分が「なぜこの問題はこうなるんだろう」と理解に苦労したところは、他人も理解に苦しむところであり、他人に教えようと思ったらそれをつきつめて学習する必要性を痛感します。「なんとなくこうなる(知らんけど)」では他人を納得させられないからです。人に教えるには知識を蓄えて、理論・論理を理解して、分かりやすく説明することが要求されますが、この一連の過程こそが、理想的な学習につながります。

 

もちろん勉強は自分のためにするもので、別に、教え魔になる必要はありません。大切なのは、他人に教えられる状態になるよう学習を継続するということです。それが学習の質と量を確保することにつながります。自分一人だけの視点だと陥りやすい「ま、いいや」になりにくいということですね。

 

 

長くなりましたが、以上で全3回の拙文は終わりです。こういう理想的な学習を意識的または無意識的にできている塾生は決して多くはないのが現状です。そういう現状を打破すべく、授業内外問わずわれわれ講師たちが塾生に日々「どう勉強すべきか」について訴えかけていますが・・・。もちろん今後もめげずにしつこく生徒たちに話していきますし、生徒たちの良い方向への変容を心から願って、熱く授業していきます。

 

大學受験館カルタス 山本