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抜き打ちテストのパラドクス
2023年06月27日
中津市・宇佐市の大学受験専門予備校、大學受験館カルタスです。
今日の記事は、論理学のパラドクスとして有名な話。小説家になったつもりで作文しました。コピペではありませんwww!
とある高校で、とある教師が生徒たちに言いました。
「来週1週間の中のどこかで抜き打ちテストをします」
「いつテストをするかが事前に分かってしまっては抜き打ちにならないので、君たちにはいつテストをするか絶対に分からないようにテストを行うからね」
それを聞いて天を仰ぐ者、ほおづえをつく者、舌打ちをする者、意に介さない者・・・様々な反応を示す生徒の中で、1人の生徒がおもむろに教師に発言しました。
「先生。それでは先生は抜き打ちテストを行えないことになりますね」
ざわついた教室がしんと静まり返りました。教師は生徒の発言に戸惑いましたが、怒るどころか興味津々になり、その生徒に尋ねました。
「なぜだい?私が月曜日にテストをしようが木曜日にテストをしようが、君たちにはその日になるまで分かりようがないと思うのだが?」
テスト実施に大反対な多くの生徒たちですら、教師の問いかけは非の打ち所のないように思われました。一瞬期待したのにと、落胆の空気が教室をつつみました。
ところが、発言した生徒は自信満々に、次のように説明を始めました。
「来週1週間の中でテストを実施できるのは、土曜日と日曜日を除く月曜日~金曜日です」
「まず、先生が金曜日に抜き打ちテストを行うとします。すると、前日の木曜日まで抜き打ちテストは行われないわけですから、木曜日の時点で、金曜日にテストがあるのだと僕らは分かってしまいます。ということは、先生は金曜日に抜き打ちテストを行うことはできないわけです」
「では、先生が木曜日に抜き打ちテストを行うとするとどうでしょうか。先ほど言ったように、金曜日には抜き打ちテストは行えないのですから、木曜日が実質的なテスト実施可能最終日となるわけです。すると、水曜日までテストが行われなかった時点で、木曜日にテストがあることが僕らには分かってしまいます」
「では、水曜日に行いますか?しかし、それも同じ理由で実施不可能です。同様に、火曜日にも。そして月曜日にも。先生は、テスト当日までテストがあると僕らに分からせずにテストすることなんてできないんですよ」
教室は依然として静まり返ったままでしたが、今度の静寂は、1人の生徒が(発言の内容はよく分からないが)教師を追い詰めている可能性があることに対する期待の静寂でした。
みなさんには、この発言した生徒のロジックが腑に落ちましたか?そして、この教師は抜き打ちテストを実施することができたのでしょうか?
この生徒のロジックは極めて論理的であり、理に適っているようですが、それでも(というより、「当然」と言うべきか?)、抜き打ちテストは実施されたはずです。
「パラドクス(paradox)」とは、広辞苑によると、①大衆の受容している通説や一般に真理と認められているものに反する説。「貧しきものは幸いである」の類。また、真理に反しているようであるが、よく吟味すれば真理である説。「急がば回れ」の類。②外見上、同時に真でありかつ偽である命題。
大學受験館カルタス 山本