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2025年度より、英検に新しい級が新設!

2023年09月30日

中津市・宇佐市の大学受験専門予備校、大學受験館カルタスです。

 

すでに各メディアで取り上げられたりしていますが、2025年度より、英検に新しい級が約30年ぶりに作られることになりました。

準2級と2級の間に新設されるそうです。名称は今のところ未定です(2023年9月30日現在)。

 

英検協会が公表している新設の意図を大まかに要約すると、

①準2級から2級に進む際の難易度の上昇幅が大きいので、それを解消するため ※現行では、準2級≒高校1年生終了程度、2級≒高校卒業程度

②生徒がスモールステップで成功体験を得られるようにするため

の2点だと言えると思います。下のリンクが、英検協会が発表している詳細なお知らせのファイルです。

 

英検に新設級(準2級と2級の間)導入のお知らせ

英検協会のホームページはこちら

 

 

特に英検2級以上の上位級が大学入試で「使える」資格となっていることから、早期から英検にチャレンジし、とにかく上位級に合格することが至上命題となっている風潮が顕著です。もちろん、積極的にチャレンジすることは素晴らしいことですし、それが中学生であっても小学生であっても別に構わないと思います。

では何が言いたいのかというと、以前もブログに記したことがある内容と重複しますが、合格・不合格という文字通りの結果のみに心を奪われて、それに向けた過程(努力)や事後の振り返り(復習・定着)があまりにも軽んじられている傾向にあるのが問題だ、ということです。ネームブランドのみでよい。中身はスカスカでも平気・・・、ということなのでしょうか。英語力を測り、それを担保する資格としての英検、だと思うのですが・・・。

そして、誤解を恐れずに言いますが、英検はそれでも合格してしまう可能性(本当に生徒のためになる英語力育成という観点では危険性と言ってもよい)がある試験です。というのも、英検の試験はライティングと二次面接を除けば全て「マーク式択一問題(選択肢4つ)」だからです。鉛筆を転がして適当にマークしても、25%の確率で正解となる問題が全体のうちかなりの分量を占めるテストだと、それこそ勘が冴えていれば合格することもあります。また、ライティングの採点の詳細は非公表なので知る由もありませんが、返却された生徒の成績表にあるスコアと、普段その生徒がどういうライティングをしているかを比較すると、採点は甘いのではと言わざるを得ません。そしてそのノリのまま、大学入試問題の英作文を舐めてかかる残念な生徒も少なくありません。

 

「準2級」にギリギリでしか合格できなかった生徒が、すぐに「3級」を改めて受けたら満点近いスコアを取れるでしょうか?おそらく無理です。

「準2級」を得点率90%以上の高いスコアで合格できた生徒は、突然テストしたとしても「3級」でほぼ満点のスコアを取れると思います。

 

これは決して、ギリギリで合格したこと自体を非難しているわけではありません。そうではなくて、積み上げられるべき「単語力」や「文法力」や「読解力」といった英語学習の土台となるべき(しかし手間暇がかかる)力が本当に身についているかを軽視、あるいはほとんど無視して、

とりあえず受けて合格すればラッキー。

合格という「結果」を得たら「過程や内容」を振り返ったり復習して定着を図ったりすることなくすぐに次

という姿勢が大問題と訴えたいのです。

 

長くなりましたが、以上のような観点から言うと、2級というそれなりにしっかりした英語力を有していなければ本来は合格できないはずの級の下に、準2級相当の英語力が本当に自分に身についているかを受検者に問い直すチャンスとして新設級ができるのは、指導する立場としては歓迎すべきことです。

 

 

最後に。

先述「過程や内容を大切にした準備期間および知識・技能の定着がある」という前提での話ですが、高1で準2級合格、高2で新設級合格、高3で2級合格、でほとんどの生徒にとっては必要十分だと思います。

準1級は2級を余裕で合格できる水準の英語力をすでに持っていて、かつ、試験に向けて中期的に努力を継続する強い意思のある生徒のみ受験すればいいと個人的には思っています。そもそも2級レベルもあやしいし、必要な努力をする気もない、であれば、それこそラッキーが重ならないかぎり合格できないからです。

 

をつけるためではなく、実力をつけるために。

英検をそのように捉えて、日頃から習慣的に英語を学習してほしいと心から思っています。

 

 

大學受験館カルタス   山本